不登校でも勉強を諦めたくない中学生の皆さんへ / 4.おすすめの参考書・問題集

 この記事では、具体的なおすすめの参考書について書いていきたいと思います。

 

 

このページでの評価基準について
⚠️すべて私見です。
・見やすさ――☆1 見づらい ☆2 許容範囲 ☆3 見やすい
・解説――★なし ☆1 ほとんどない ☆2 必要十分 ☆3 詳しい
・問題の量―― ★なし ☆1 少ない ☆2 必要十分 ☆3 これだけこなせば大丈夫


ウォーミングアップ――自分の現在地を把握しよう

 どこから始めればいいか、何年生の参考書から買えばいいのかは人によって違います。自分の現在地を把握して、わかる範囲に無駄な時間を使わず、わからない範囲から始めましょう。自分の現在地がわからない人や、小学校の途中から不登校だった人は、小学校の総復習の本を一冊やってみるといいです。

 

まずは小学校の総復習

おすすめ1 『小学の総復習全科

 

おすすめ2 『全科コンプリート 小学全学年

 

 もちろん他の本でもいいのですが、小学校の全範囲をサラッと復習できるため「中学入学準備」などと書いてあるものが特におすすめです。「中学受験」などと書いてあるものは、難易度が高すぎる上に中学受験でしか使わない知識が多すぎるのでNGです。
 小学校範囲は大丈夫という人はもちろん飛ばしていいのですが、少なくとも算数だけはやることをおすすめします。中学以降の勉強をするにあたって、他の教科は小学校範囲が抜け落ちていてもそこまで問題はないのですが、数学だけは、算数ができなければ絶対に理解できないからです。

 

 

 算数だけ復習すれば他の教科は大丈夫!という人におすすめしたいのは、以下のようなもの。

おすすめ1『小学校の算数の総復習が7日間でできる本

 

おすすめ2『小学校の算数のだいじなところがしっかりわかるドリル』

 
こちらは、上の『小学校の算数の総復習が7日間でできる本』よりも問題数が多く、手厚い印象。より算数が苦手な人におすすめです。

 


 または、「多分大丈夫だけど、一応サラッと確認したい」というような人は、ネット上で無料で公開されているプリントなどを利用するという手もあります。

manabikata.info

 上のサイトでは、プリント5枚(標準を入れても9枚)だけで、小学算数の復習をサラッと終わらせることができますよ。忘れているところやわからないところは、以下のようなサイトに学年や単元ごとにドリルが無料公開されていますので、復習しておきましょう。

happylilac.net

 さて、これで中学範囲に入る準備は終わりです!


中学範囲、途中までやったことがある人は

 「中1(中2)までは学校行ってた、多分わかる」というような人へのおすすめはこれ。

おすすめ1『中1 5科の要点総仕上げ問題集』『中2 5科の要点総仕上げ問題集』
 
 
こちらは、基礎〜標準レベルの問題だけに絞った5教科の復習用の問題集。解説はありませんが、その分参考書『5科の要点整理』シリーズと対応しています。 「理解はしてる、けど忘れてて解けない」範囲があれば、参考書を使って復習しましょう。

 

おすすめ2『復習ワーク5科』シリーズ

 シリーズとして、「中1」「中1・2」「中学3年間」があります。中2に限定したものは展開していないところに注意。また、個人的な印象になるのですが、こちらは上の『5科の要点総仕上げ問題集』よりも、発展的な内容まで収録しているように感じました。ある程度成績が良かった方は、こちらがいいかも。

 

 怪しければその学年の範囲から、問題なく解けたらその次の学年の範囲から始めましょう。

 さて、これで自分が何年生の範囲から始めるべきなのか、わかりましたでしょうか。


一冊目――まずはここから

 こちらで紹介する参考書は、どれも解説がしっかりした、基礎を身につけることに特化したものを選んでいます。受験が必要ない人やもともと勉強が苦手だった人は、この一冊目だけを徹底的にやり込みましょう。ちなみに受験する人も、偏差値45くらいまで狙えます。


『ゼッタイわかる』シリーズ (参考書)

・見やすさ――☆2 許容範囲
・解説――☆3 詳しい
・問題の量―― ☆1 少ない

 

 このシリーズの特徴は、漫画+会話文メインで解説が進むこと。教科書のような文章を読むのが苦手な人でも、会話形式なら読みやすいです。展開は学年別に、数英理社の4教科。国語は展開していません。


『中学ひとつひとつわかりやすく』シリーズ (参考書+問題集)

・見やすさ――☆3 見やすい
・解説――☆2 必要十分
・問題の量―― ☆1 少ない

 勉強が苦手な人・初めてやる人向けの、不動の人気シリーズ。なんといっても、『左ページで解説を読んで、右ページで問題を解く』という分かりやすい構成が一人でも進めやすいです。勉強はインプット→アウトプットの繰り返しですが、こちらは見開き1ページで1サイクル終わってしまうので取り組みやすく、挫折しにくいです。
 ラインナップは、英数理社の4教科の学年ごとの展開の他に、「英単語」「国語」「国語基礎知識(漢字・ことわざなど)」「理科用語」「社会科用語」などがあります。


『ひとつずつ すこしずつ ホントにわかる』シリーズ (参考書+問題集)

・見やすさ――☆3 見やすい
・解説――☆2 必要十分
・問題の量―― ☆1 少ない

 個人的なおすすめ。構成としては『ひとつひとつわかりやすく』シリーズと似た、「左ページで解説を読んで、右ページで問題を解く」というものなので、挫折しにくさはそのままに、こちらはより見やすい・問題が解きやすい紙面になっていると感じます。また、専用アプリを使って無料で見られる解説動画つき。「苦手なら、まずはこれ」という立ち位置の参考書です。


『ぐーんっとやさしく』シリーズ (参考書+問題集)

・見やすさ――☆2 許容範囲
・解説――☆2 必要十分
・問題の量―― ☆2 必要十分

 こちらはシグマベストの文英堂が出した基礎向けの参考書。構成は上で紹介した三冊と似ていますが、比較するとこちらの方が少しだけ練習問題が充実しているかなという印象です。ただ見やすさでは『ひとつずつすこしずつホントにわかる』の方がいいかなと思うのと、練習問題に穴埋めが多いので、穴埋めは面倒で嫌という人は注意。

 

〈番外編〉『やさしい中学〇〇』シリーズ (参考書)

『やさしい中学地理』より
『やさしい中学数学』より

 この本については「2.独学の場合の勉強法」の記事でも少し触れているのですが、こちらは先生と生徒の会話を文字起こししたような講義形式のテキストで、「この本を読んで基礎を理解してから、問題集をやる」という使い方の一冊。特に数学、理科という理解度が重要になる理系科目におすすめです。

 このシリーズを買うことをおすすめするのは、このような人。
・「そういうものだと思ってとりあえず進む」ことが苦手で、理屈が理解できないと先に進めない人
・上で紹介したような本では解説が足りないと感じる人
・三日坊主になりにくい人(時間がかかることと理解するためにある程度の基礎学力が必要になることで、挫折しやすくなるため)
・最終的に偏差値55〜60以上を目指す人(基礎の問題が解けるだけでなく理屈を理解できていると、標準・応用問題以降が楽なため。詳しくは「独学の場合の勉強法」の記事参照)

 ただ、問題数が少なく、この本一冊で基礎を身につけるのには厳しいので、この本を読んだ後に、上で紹介したような参考書+問題集タイプの本で問題を解くことが前提です。あくまで、解説に特化した補助教材くらいに思っていてください。
 ちなみに三年分が一冊にまとまっていますが、中身はしっかり学年別に分かれていますよ。

下の方に「困ったときに見る一冊」を何冊かおすすめしているのですが、この『やさしい』シリーズは例外です。なぜなら、偏差値50くらいまでの基礎の解説特化なので、それ以上のレベルの知識は載っていないから。あくまで、基礎の基礎を理解するための一冊なので、一冊目が終わったあとは別の参考書を使いましょう。

 


二冊目――定期テスト・受験基礎レベルに手を伸ばそう

 「もともと勉強は苦手じゃない」「定期テストで平均点を目指したい」「高校受験にチャレンジしたい」という人や、上で紹介した基礎の参考書を終えた後に使うのにおすすめな参考書・問題集はこちら。


『くもんの中学基礎がため100% できた!』シリーズ (問題集)

・見やすさ――☆2 許容範囲
・解説――☆1 ほとんどない
・問題の量―― ☆3 これだけこなせば大丈夫

 このレベル帯の問題集としてはかなりおすすめ。学校のワークよりも難易度は低いというくらい基礎レベルの問題の量が充実していて、やり込めば高校入試の偏差値50くらいまで狙えます。要点のまとめもかなりしっかり書かれていて、基礎を確認しながら定期テスト〜入試基礎レベルが解けるようになるための基礎固めに使うのにはぴったりです。
 デメリットは、基礎の問題量を確保した結果、冊数が他より多いこと。他の問題集は学年別になっているものが多く、5教科×3年分で15冊前後のものがほとんどですが、こちらは全部で28冊あります。例えば中1理科は「中1理科 生命・地球」と「中1理科 物質・エネルギー」の2冊に分かれています。冊数が多いということは、それだけ揃えるのにお金がかかりますし挫折しやすくもなるので注意しましょう。
 また、英語は「文法」「単語・読解」に分かれていますが、「単語・読解」の方は少しレベルが高すぎるので注意。偏差値60くらいの高校まで狙えるようなレベルになっています。


『実力アップ問題集』シリーズ (問題集)

・見やすさ――☆3 見やすい
・解説――☆1 ほとんどない
・問題の量―― ☆3 これだけこなせば大丈夫

 こちらは、『ぐーんっとやさしく』シリーズと同じ文英堂から出ている問題集。上の『できた!』シリーズより少しレベルは高めで、偏差値でいうと55〜60くらいまで狙えます。
 メリットは、モノクロでシンプルな紙面。見やすく、問題が解きやすい構成です。デメリットは、要点のまとめが少なめなこと。どこをとっても、『できた!』や下の『リピートプリント』よりは得意な人向けの問題集です。


『やさしく学ぶ リピートプリント』シリーズ (問題集) 【英・数のみ】

 
 

・見やすさ――☆3 見やすい
・解説――☆1 ほとんどない
・問題の量―― ☆3 これだけこなせば大丈夫

 「びっくりするほどの見やすさ」。この一言に尽きます。モノクロで文字が大きく、ひたすらにシンプルな紙面。書名が「プリント」なのも納得の見やすさです。レベルとしては、偏差値50を目指す人向け。『できた!』と似た感じで、解説も問題数も最低限に絞ったものという印象です。
 英語・数学という反復練習が必要な2教科のみの展開。基礎の基礎範囲だけを、徹底して反復練習することができます。


〈番外編〉『教科書ぴったりトレーニング』シリーズ (問題集)

 こちらは、教科書準拠の問題集。定期テストを受ける人におすすめです。
 要点確認→練習→確認テストの順で進み、巻末には定期テスト予想問題がついています。短所としては、ページ関係がちょっとごちゃごちゃしているかなという印象。見開きで見ると左右のページで違う単元だったりしますし、ちょっとカラフルすぎます。
 ただ、それを差し引いても、「一人でも進められる」という点で、教科書準拠の教材の中では一番おすすめです。


〈番外編〉学校のワーク

 基本的に、学校のワークを独学に使うのはおすすめしていません。なぜなら、ワークは教科書に準拠しているので進めるために教科書を読む必要が出てきますが、その教科書というのが授業で使う前提で独学でやるには分かりづらいからです。
 が、学校のワークで進めてしまったほうがいい場合もあります。それは、
定期テストの点数や内申を何より重視したい場合
(例えば、現在フリースクールに通っていて、偏差値50以上の高校を受験する場合など)
・今は不登校・別室登校だけど、近いうちに教室に戻りたいと思っている場合
の二つ。
 学校のワークは定期テスト対策にはもってこいですし、先生によってはワークを提出させて評価対象にしている先生もいますので、内申を重視したい場合はワークでやってしまっても大丈夫です。また、教室に戻りたいと思っている場合は、戻ったあとにスムーズに順応するために、ワークに慣れておくといいです。

 どちらの場合でも、教科書+ワークだけで進めるのには限界があるかと思います。『ひとつひとつわかりやすく』『ひとつずつすこしずつホントにわかる』『ゼッタイわかる』などと同時に進めるか、『やさしい』シリーズを読んでから取り組むことをおすすめします。

 


参考書――『困ったときに見る一冊』に

 『困ったときに見る一冊』は、主に、問題を解いていて解き方や用語がわからない時に調べるのに使う本。また、社会の場合、問題集に入る前に知識を覚えるために使う本です。

『テスト前にまとめるノート』シリーズ

 
『テスト前にまとめるノート 中学地理』より

 こちらは重要ワードを穴埋め式に書き込んでいくだけでまとめノートが完成するという珍しいタイプの参考書。ノート式にまとめたい人にはぴったりですし、余白も大きめなので書き込みもしやすいです。難しすぎず詳しすぎず、定期テスト対策レベルまでの情報量なのもいいです。

 

『実力メキメキ合格ノート』シリーズ 【理社のみ】

 こちらは解説編と書き込み編に分かれており、「解説を読む」と「重要ワードを書き込んで、ノートにまとめる」が一冊でできる参考書。いわば、『テスト前にまとめるノート』に解説テキストをくっつけたような構成です。理科はおすすめというほどでもないですが、社会(地歴公の全3冊)はおすすめで、ただワードを暗記するだけではなく、前後の流れや関係性を理解することができます。
 注意点は二つです。
 一つ目は、レベルがかなり高いこと。偏差値60以上も余裕、完璧にすれば偏差値70も夢ではないというレベルですので、基礎の一冊目を終えたあとでも少し難しすぎるかもしれません。逆にいうと、高校受験を目指す人にとっては、偏差値60以上を狙うために必要な知識を一冊で一気に身につけられるいい本です。
 二つ目は、筆者の自我の主張が強すぎるため好き嫌いが分かれがちなこと。これはどういうことかというと、こちらの解説編は、教科書や他の参考書と違い、「授業をそのまま文字起こししました」みたいな文章です。つまり、「なんかこの人言い方がイヤミで嫌」みたいなことがあるんです。

 上の画像2枚は、どちらも『実力メキメキ合格ノート 中学地理』より抜粋したもの。文章にクセがあり、筆者の人間性が透けて見えますよね。これのせいで、読んでいてイラッとすることがあります。まさに授業あるあるという感じです。
 このため、教科書や参考書のような書き言葉よりも話し言葉の方がわかりやすくて好きという人にはおすすめできるのですが、合わない人には本当に合わないので注意しましょう。「先生が嫌いだからこの教科嫌い」というようになりやすい人は、やめておいた方が無難かもしれません。

 

『くわしい中学〇〇』シリーズ

 フルカラーで見やすく、基礎から高校受験まで対応できる情報量の網羅系参考書です。こちらも偏差値70も夢ではないというようなレベルの本なので、かなりレベルが高いことに注意しましょう。
 イメージとしては、「一人でも理解できるように、教科書の内容をわかりやすく解説しました。また、教科書より難しい発展的な内容まで一冊にぎゅっと収録しておきました」みたいな本です。中身はこんな感じ。

『くわしい中1理科』より
『くわしい中1数学』より

 教科書と似ていますよね。とにかく情報量が多いので、問題集を解いていてわからないことが出てきた時にこの本を開けば、たいていの解き方は載っています。「問題集を解いていてわからなかったところだけ調べる」「苦手なところだけ、詳しい解説をあらかじめ読んでおく」という使い方にはぴったりです。いわゆる、"辞書的に使える参考書"です。一冊まるごと読むのには分厚すぎ・詳しすぎるのでやめておきましょう。


 ここまで、おすすめの参考書・問題集を列挙しました。
 
 次の記事で、教科別に、どういった順番で進めるかをまとめる予定です。