不登校でも勉強を諦めたくない中学生の皆さんへ / 3.参考書の選び方

 この記事では、参考書の選び方について書いていきたいと思います。主に想定しているのは、不登校や元不登校の人や、学校に行ってはいるけれど勉強についていけていない中学生の皆さんです。

 

 

 

概論――参考書・問題集を選ぶ時の注意点

学校で使っている教科書・ワークはやめておこう

 不登校でも教科書類はもらっている人が多いと思うので、手元にあるしこれで……と思ってしまいがちですが、これはやめたほうがいいです。なぜなら、学校で使っている教材は「学校で授業を受けている」ことが前提だから。練習問題の答えも載っていないです。(先生が使う指導用教科書にだけ載っています。)独学で勉強するのに使うことを想定されていないので、やめておきましょう。お金をかけられない……という場合でも、YouTube上の授業動画やサイト上で無料公開されているプリントの方がいいです。

⚠️ワークに関しては、活用できる場合もあります。次の「おすすめの参考書・
問題集」の記事で少し触れています。

 

不登校が使うのに向いている教材とは

  市販の参考書・問題集を大きく分類すると、「授業で分からなかったところの補習・復習」「定期テストで高得点を狙う」「入試に向けて高いレベルにチャレンジ」という3種類のレベルがあります。
 この中で「授業で分からなかったところの補習・復習」用に作られた参考書・問題集は、不登校でも問題なく使うことができます。定期テスト対策・入試対策向けのものは、授業で扱うような基礎の部分が省略されていたり、サッと触れるだけだったりするので、不登校の人が一冊目に使うことはおすすめしません。

⚠️どのレベル帯かわからない場合は、ネットでタイトルと"レベル"と入れて検索してみるか、"わかりやすい""基礎"などの言葉で紹介されているものを選びましょう。

 

勉強が得意な人や受験を目指している人も、まずは基礎的なものから

 一口に不登校と言っても学校に行っていないという共通点だけで、もともと勉強が得意だった人や、高校受験を目指している人も多いと思います。そういう人も、少なくとも学校で授業を受けていない範囲からは、基礎的なレベルの参考書・問題集から始めましょう。
 初めからレベル高めの教材に手を出してしまうと、基礎があいまいなまま先に進むことになりかねませんし、途中で挫折してしまう可能性も高くなってしまいます。

 ある程度勉強が得意な人にとって、授業の補習・復習用の教材、つまり分からない人向けの教材は、簡単すぎると感じるでしょう。でもそれで大丈夫です。基礎の問題集をパパッとやってしまって、それからもう少しレベルの高い教材にチャレンジしましょう。焦らずに基礎から徐々にレベルアップしていけば、必ず学力は上がります。

情報量が多すぎない、シンプルなものを選ぼう


 カラフルな参考書は、「紙面がうるさい、どこが大事なのかわからない」と感じがちです。また、1ページあたりの情報量が多すぎるのも問題です。例えば、こういうもの。

『学研ニューコース 中学歴史』より

 逆に、比較的シンプルな参考書(参考書+問題集タイプ)の例は、こういうもの。

『中学歴史をひとつひとつわかりやすく』より

 初めて学習する範囲なら、下のような色使いがシンプルで1ページあたりの情報量が少ないものがおすすめです。

中古で購入する場合には――数年ごとに、教科書の内容は変わることに注意


 直近だと、学習指導要領が改訂されたのは2021年。このとき、高校範囲だった英語・仮定法が中3の範囲に加わったり、中3範囲だった数学・素因数分解が中1範囲に変更されたり、様々な変更がありました。つまり、2021年以前に発行された参考書では、「今の中学校の教科書に載ってる・授業で扱っている範囲が参考書に載っていない」ことが多々あります。新品の参考書は決して安くないので中古で買ってもいいのですが、発行年に注意して、できるだけ新しいものを買いましょう。
 新刊で書店に並んでいるものは対応済みと思っていいですが、心配なら「新学習指導要領対応」と書いてあるものを選ぶといいです。


参考書の選び方

スッと頭に入ってくるものを。会話文形式・漫画形式でもOK

 教科書のように堅苦しい文章が並ぶ参考書だと、とっつきにくいと感じがちです。参考書を買ってもやらなければ意味がないので、最初の一冊目は、「読んでいてスッと頭に入ってくる、理解できる」「勉強している感覚が薄く、楽しく続けられる」の2点で選んでしまいましょう。もちろん漫画だったり、キャラクター同士が会話している形式のものでもOKです。

 定期テストや入試に出るようなレベルの問題に入ると、漫画などがメインの参考書には載っていない問題も出てくるようになります。でも、基礎さえ抑えていれば、もっと詳しい参考書を追加したり、問題に出てきた時に知識に追加したり、後からいくらでもカバーできます。とにかく嫌にならずに続けられることが第一なので、最初は詳しい参考書よりも、わかりやすく楽しく読めるものを選びましょう。

3年分が一冊にまとまった参考書には注意

 不登校だと、学校より進度が遅れている人がほとんどだと思います。学校進度に追いつけるかと不安で焦ったり、中1から順番にやるのが面倒だったりで3年分一気にやればいいやと思いがちです。
 でも、これはつまずきやすいので注意です。本来は中1、中2、中3と段階を踏んで学習する範囲を一冊にまとめるということは、問題の量も解説の量も大幅に削るということだからです。中3で、もともと勉強が得意だったり不登校期間が短い人が使う分にはいいのですが、個人的にはあまりおすすめしません。


問題集の選び方

分厚すぎない、問題の量が多すぎないものを選ぼう


 問題演習は多い方が定着しやすくていいのですが、その分挫折しがちです。最初は薄くて問題量が少なめの参考書にしましょう。一冊終わらせられれば、自信にも繋がります。
 また、レベル別に問題が分けてある問題集を使って、最初は基礎レベルの問題だけにして応用問題は飛ばすという方法もあります。

問題を解くことに集中できる、シンプルで余白多めのものを選ぼう

 問題集、特に基礎や標準レベルのものは、大抵基礎知識を確認するページがあります。そのページのわかりやすさは言うまでもないのですが、基本問題や練習問題を解くときに、問題を解くことに集中できるのかも大切です。例を出します。

『できた!中1英語 文法』より
『中学 標準問題集 中1英語』より

 上に画像を載せた二冊の問題集は、どちらも基礎〜標準レベルの問題集として有名なものです。ただ、この二冊、どちらも、「問題の右側にヒントがついている」ことがお分かりいただけるでしょうか。もちろん、これは基礎確認用のページだからヒントがついているのであって、全てのページがこうなわけではないですが、この場合二つ問題が出てきます。
①自力で解きたくてもヒントが見えてしまう
②問題を解いているときはアウトプットに集中したいのに、ヒントがあることでアウトプットと同時にインプットを強いられる
ということです。
 ①はまだいいのです。これは基礎の問題のページなので次のページ以降でヒントなしで解くことができますし、最初はヒントがあったほうがいい人も多いでしょう。でも、②が個人的にかなりネックでした。

 問題集を解いているのですから、問題を解くことに集中したいですよね。そういうとき、ヒントがあると1ページあたりの情報量が多すぎて目が滑るのです。これが、個人的にはかなり苦痛で、結局最後まで進められずシンプルなものに買い替えました。簡潔なまとめのあとに問題というシンプルな構成、余白が大きくヒントもないものを選ぶと、問題を解くことだけに集中できます。

目次を見て、一つの単元ができるだけ細かく分けられているものを選ぼう

 例えば、数学の比例・反比例という単元があります。これを問題集で学習するとしたときに、

『完全攻略 中1 数学』より

こちらの問題集では3節に分かれていますが、

『できた!中1数学 関数・図形・データの活用』より

こちらの問題集では、21節に分かれています。

 この2冊で選ぶなら、下の方がおすすめです。細かく分かれていた方がひとつひとつ理解しているかを確認しながら進められて、もし間違えてしまってもどこでつまずいたのか、どこからやり直せばいいのかわかりやすいからです。
 上のような問題集は、勉強がある程度得意な人や一冊目で基礎を既に終えた人の二冊目の選択肢としてはアリですが、初めてやる人にはあまりおすすめしません。


 ここまで読んでいただきありがとうございました。

 具体的なおすすめの参考書・問題集は、次の記事で紹介します。